サッカー フォーメーション|4-1-2-3の特徴とメリット・デメリット

サッカーには様々なフォーメーションがあり、それぞれに特徴があります。

この記事では、欧州のビッグクラブのひとつで、名将ペップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティが基本フォーメーションとして採用した、4-1-2-3について解説します。


4-1-2-3の配置

はじめに4-1-2-3の基本配置を確認すると同時に、4-3-3との違いを見てみましょう。

なぜなら、4-1-2-3は4-3-3の派生形と言えるからです。

4-3-3についてはこちらの記事を参照

4-1-2-3は基本的には、1ボランチと2人のインサイドハーフで構成される中盤の4-3-3の陣形と同じです。

DF:センターバック2人&左右両サイドバック1人ずつ
MF:センターに1人(ボランチ)&両サイドハーフ1人ずつ(インサイドハーフ)
FW:センターフォワード1人と左右両ウイング1人ずつ

フォーメーションとは試合開始時の配置を表すものであり、戦術や戦況によって変化することがあります。

一般的にポジションを大きく分けるとDF、MF、FWの3ラインとなることから、4-3-3と呼ばれるケースも多いでしょう。

しかし、3ラインごとに各ポジションを細かく見ていくと、同じフォーメーション名で呼ばれていても配置パターンは複数存在するのです。

その典型的なケースとして、4-3-3が4-1-2-3と呼ばれること(またはその逆)が挙げられます。

4-1-2-3の特徴とメリット・デメリット

中盤を1ボランチにした4-3-3が4-1-2-3なので、基本的な特徴は4-3-3と変わりありません。

全体的にコンパクトに陣形を保つことができるので、非常にバランスの良いフォーメーションです。

では、1ボランチの4-3-3と4-1-2-3は何が違うのでしょうか。そこに明確な違いはなく、人によって呼び方が違うという程度の認識で問題ありません。

イングランドプレミアリーグのマンチェスター・シティは、ペップ・グアルディオラの指揮の下、基本フォーメーションは4-1-2-3です。

2022年現在から過去3年くらいまで遡っても、基本フォーメーションは4-1-2-3(4-3-3)で戦ってきました。

ただし、2021年シーズンのマンチェスター・シティは、3トップの中央にストライカータイプの選手が不在にしがちだったこともあり、中盤の選手をセンターフォワードの位置に置き、いわゆる0トップとか偽9番とよばれる戦術を取り入れました。

トップから中盤に下りてきて数的優位を作り、しっかりとボールを保持することを目的としています。

マンチェスター・シティの基本フォーメーションは4-1-2-3と呼ばれることが多いので、この0トップ/偽9番を採用するフォーメーションのイメージを持つ人は多いかもしれません。

4-1-2-3(4-3-3)の代表的なストロングポイントとウィークポイントは以下の通りです。

  • 攻撃に人数をかけられる
  • 相手のビルドアップに対して前線からプレスをかけやすい
  • 全体的にコンパクトな陣形を保てる
  • 個の力で状況を打開できる選手が3トップに揃うと相手にとって驚異になる
  • 偽9番/0トップ戦術を採用することでMFタイプの選手がトップの位置で機能する
  • 守備範囲が広い選手、デュエル(対人)に強い選手がアンカーとして機能する
  • 外に開きすぎると中が空き、中により過ぎると外が空く=バランスが崩れやすい
  • 3ライン全体で連動しないと相手にスペースを与えてしまいやすい
  • 3ライン間が空きやすい

4-1-2-3(4-3-3)における偽9番/0トップとは?

欧州ではポジションを番号で呼ぶ場合があります。

センターフォワードの選手は背番号9番を付けることが多い印象を持つ人は多いかもしれませんが、9番とはフォワードのポジションの俗称です。

4-1-2-3/4-3-3における9番の選手は最前線でマークに合いやすく、自由にプレーさせてもらえないことが多いです。

このポジションの選手が絶対的な選手であればあるほど、相手に抑え込まれると得点源を失うことになりかねません。

その回避策として、9番が中盤に下りてきてボールを受ける動きをする戦術が考案されました。

こうすることでセンターフォワードに位置する選手が不在になります。これが偽9番または0トップです。

9番が中盤に引いて受けようとしたとき、相手のセンターバックはついていきすぎるとゴール前にスペースを与えてしまうことから、マークを外します。

その結果、9番はボールを受けやすくなり、ボールを持ってプレーする機会を生み出すことに成功するのです。

4-1-2-3(4-3-3)の偽9番/0トップとして効果的なプレーをする代表的な選手は、アルゼンチン代表のリオネル・メッシです。

言わずもがな世界最高のFWであるメッシは、ドリブルや味方とのコンビネーションでDFラインを突破することに優れた選手であり、引いて受けたことで生まれたスペースを使ってゴールに迫ります。

このパターンに持ち込まれると、たちまち相手DFは困難な状況に陥るでしょう。

 

わずかでも前線にスペースがあればメッシに突破されてしまう(引用元:YouTube)

4-1-2-3を採用する有力クラブ

4-1-2-3(4-3-3)のフォーメーションを採用する代表的なクラブは、ペップ・グアルディオラ監督率いるイングランドプレミアリーグのマンチェスター・シティです。

特に2020-2021年シーズンは、ケヴィン・デ・ブライネやフィル・フォデンなど、偽9番/0トップの役割を担う複数の選手がいました。

ところが2022-2023年シーズンは、ハーランドというストライカータイプの選手を獲得したことで、これまでとは違う戦い方になりました。

フォーメーションは4-1-2-3のままでも、絶対的なゴールゲッターにボールを集めるスタイルに変わりつつあります。

 

4-1-2-3で0トップ起用のデ・ブライネがゴール前に飛び出して得点(引用元:YouTube)

まとめ

基本フォーメーションとして採用されることが多い4-1-2-3(4-3-3)ですが、監督が取り入れる戦術や所属する選手の特徴によって、細かい配置や攻守の特徴が変わります。

中央もサイドもバランス良く選手を配置することから、攻守ともにコンパクトに保てて極端にスペースが空きにくい点が特徴のフォーメーションです。

中盤3枚の中で守備に重きを置いたポジションをアンカーと言いますが、アンカータイプの選手がいる、またはアンカーを活かす戦術を採るチームは、4-1-2-3と表記されるというのが一般的でしょう。

また、偽9番/0トップを取り入れる際の基本フォーメーションは4-3-3または4-1-2-3であることが多いです。

 

重要なのはフォーメーションそのものではなく、戦術や選手の特徴に合わせた初期配置をベースとして、どのような攻め方や守り方をするのかということ。

サッカーは流動的なスポーツですから、フォーメーションに囚われ過ぎてはいけないということを忘れないでください。

  • 攻守にバランスが良い
  • 攻守において中盤に人数をかけられる一方で、中央またはサイドにより過ぎるとバランスが崩れる
  • 中盤の形は戦術や選手の特徴によって変わる
  • 偽9番/0トップを採用するチームがある

あわせて読みたい

関連記事