サッカーには様々なフォーメーションがあり、それぞれに特徴があります。
この記事では、日本代表も長く基本フォーメーションとして採用している4-2-3-1について解説します。
4-2-3-1の配置
はじめに4-2-3-1の基本配置を確認しましょう。
4バックにボランチが2枚、その前に3枚のハーフがいて、トップは1枚です。
⑨ワントップ
⑩トップ下
⑪⑧サイドハーフ(ウイング)
⑥⑦ボランチ
④⑤サイドバック
②③センターバック
4-2-3-1のメリットとは?
サイドからも中央からも攻めやすい、バランスがとても良いフォーメーションと言えるでしょう。
味方選手どうしが近づきすぎたり離れすぎたりすることが少なく、各ポジションの距離感が良い陣形です。
バランスが保ちやすく、かつ中盤に厚みを持たせることができます。
極端にボールポゼッションを高めるというより、ボールを失ったときのリスクマネジメントをしつつ、中盤を支配することが可能。
また、ボールを失った際、中盤全体の選手間、2ボランチとDFラインの距離感が崩れにくいことで、安定感のある守備を行えます。
これらがバランスが良いフォーメーションと言えるポイントです。
・中盤に人数をかけられる、かつ選手どうしの良い距離感が崩れにくい
・サイドからも中央からも攻めやすい
・中盤でボールを失ってもすぐにプレスをかけやすい
・2ボランチとDFラインで安定感のある守備が可能
4-2-3-1のデメリットとは?
バランスが良いという大きなメリットがある4-2-3-1ですが、このフォーメーションのデメリットはどんなところにあるのでしょうか。
最も陥りやすいのは、ワントップが孤立した状態です。
2ボランチにトップ下、サイドハーフの5枚を配置することで中盤に人数をかけていますが、FWは1枚です。
中盤で崩しても、ワントップが攻撃に絡めないとフィニッシュに持っていきにくくなってしまいます。
このことから、4-2-3-1のフィニッシャーはトップを追い越してきた両サイドハーフとなる場合が多いのはそのためです。
それ自体は決して悪いことではありません。
むしろそれがないと効果的な崩しが行えず、バイタルエリアからペナルティエリア内への侵入も困難になってきます。
良くないのは、ワントップが効果的に崩しに関われていない状態です。
厚みのあるビルドアップでアタッキングサード(フィールドを3分割したときの相手ゴールに近いゾーン)にボールを運ぶ際、ワントップはポストプレーなどで起点になるプレーが大事。
さらに、その後の動き出しでゴール前に顔を出すことで、バイタルエリアで迫力ある攻撃を仕掛けることができるでしょう。
もう1つは、4-2-3-1のメリットであるバランスの良さが崩れると、相手にスペースを与えてしまうことです。
中盤が中央に寄りすぎるとサイドが空きます。
守備時にトップや中盤の選手の戻りが遅い、またはボランチ2枚が揃って前に出すぎるとDFラインとの間が空いてしまいます。
・ワントップが孤立しやすい
・中盤が中央に寄りすぎると相手にサイドを狙われやすい
・2ボランチが前に出すぎるとその裏のスペースを狙われやすい
4-2-3-1と他のフォーメーションとの相性
相性が良いとされるフォーメーションの1つが4-3-3です。
攻撃時には自チームの4ラインに対して相手が3ラインになるため、どこかのラインでフリーの選手が出やすいという点です。
守備時はフォーメーションどうしの噛み合わせから、マークしやすい状況が生まれやすくなります。
4-3-3についてはこちらの記事を参照
一方で相性が悪いのが、4-1-2-3です。噛み合わせによりマークされやすいからです。
4-2-3-1を採用する代表的なクラブ
ドイツ・ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンの基本フォーメーションが4-2-3-1です。
孤立しがちなワントップにおいて、絶対的ストライカーのレヴァンドフスキがゴール量産を含む決定的な仕事をしています。
これが近年のバイエルンが絶対王者の地位を築いている大きな理由であることは疑いの余地はありません。
レヴァンドフスキの他にも各国の代表クラスの選手を数多く揃え、様々な攻撃を仕掛けますが、最終的にレヴァンドフスキにボールが集まってきます。
現代のバイエルンは伝統的に4-2-3-1を採用し、サイドの名選手が多いです。
特に多くのファンに印象に残っているのは、2019年まで長きにわたり活躍したアリエン・ロッベンとフランク・リベリではないでしょうか。
ワントップにレヴァンドフスキが君臨し、中盤の両サイドは右にロッベン、左にリベリという配置で、サイドでも中央でも厚みのある攻撃を展開していました。
4-2-3-1の両翼 リベリとロッベンのゴール(引用元:YouTube)
歴代の日本代表が採用する4-2-3-1
日本代表の歴代監督の多くは、4-2-3-1というフォーメーションを用いてきました。
今でこそ海外トップリーグでプレーする日本人選手が増えてきましたが、それでも個人で状況を打開できる選手はそう多くはありません。
攻守両面でフィールド全体をカバーしやすい4-2-3-1は、組織的に戦うことが求められる、あるいはチーム戦術を遂行するための規律性に優れた日本代表にフィットしているといえるのではないでしょうか。
それでも、個の技術では世界に引けを取らない日本人選手が多数生まれているのも事実。
ゲームメーカーやアタッカーなどタイプこそ違えど、伝統的に中盤のポジションで逸材が輩出されてきました。
現在では、南野拓実、久保建英、堂安律などの選手たちが挙げられます。
そこに不動のワントップである大迫勇也が入る布陣が、日本代表の基本といえる時代が続いてきました。
大迫勇也は得点力を備えたフォワードですが、ポストプレーを中心とした周囲と連動するプレーで躍動する選手です。
ワントップが起点となって、中盤3枚の突破力ある選手がゴールを奪うのがひとつのパターンとなっています。
全体のバランスを取りながらも前線で厚みのある攻撃が仕掛けられる4-2-3-1は、日本人選手の特徴を最大限に活かせるフォーメーションであると判断されてきたのでしょう。
4-2-3-1のワントップで躍動する大迫勇也(引用元:YouTube)
しかし、2022年カタールW杯でグループリーグ突破を狙う日本代表チームは、アジア予選終盤では4-3-3の布陣で戦っていました。
そこで一定の成果を上げていることから、森保監督が本戦ではどちらのフォーメーションを敷くのか議論されています。
伝統的な4-2-3-1か?直近で機能している4-3-3か?カタールW杯に臨む日本代表の注目ポイントですね。
まとめ
4-2-3-1の基本について説明しました。
中央もサイドもバランス良く選手を配置することが可能なフォーメーションであるということが最大の特徴です。
攻撃面においては、中央からサイドからバリエーションある攻めが可能。
守備面では、バランスが崩れにくく、組織的な守りが保ちやすい。
バランス型フォーメーションであるという点が、世界的にも採用するクラブや代表チームが多い理由なのではないでしょうか。
・攻守にバランスが良い
・攻守において中盤に厚みをかけられる
・中央からもサイドからも攻めやすい
・ワントップを孤立させないことで効果的な攻撃が可能
・2ボランチの良いバランスが守備を安定させる