サッカー フォーメーション|4-4-2の特徴とメリット・デメリット

この記事ではサッカーのフォーメーションの1つ、4-4-2について特徴やメリット・デメリット、相手の相性などを解説していきます。

ヴェルディフットサルユース、チェルシーサッカースクールなどでの指導経験と、千葉県の習志野高校サッカー部(全国ベスト8)、関東フットサルリーグなどでの競技経験を基に、サッカー、フットサル戦術やトレーニングなどを解説

4-4-2の配置

まずは4-4-2における選手の基本配置を理解しましょう。

4-4-2は以下の配置となるのが一般的です。

DF:センターバック2人+両サイドバック各1人
MF:セントラルハーフ2人+両サイドハーフ各1人
FW:センターフォワード2人
サッカーフォーメーション解説4-4-2の初期配置例
4-4-2の配置例

ディフェンスライン4枚、中盤に4枚、フォワードに2枚。

このフォーメーションが形成されている理由はシンプルです。自陣のゴールから1人で担当できるエリアをおおよそ等分して、ゴールへブロックを組んでいった結果、この組み立てになります。

守備に移行しやすいフォーメーションです。

自陣のセンターの選手を各ポジション2人ずつで3列配置し、残りの人数でサイドを埋めた形となります。

歴史的には相手に対して守るマンマークディフェンスから、ゾーンディフェンスに変わった時のフォーメーションが4-4-2といわれています。

選手の特徴との相性

センターバック

ヘディングの強さがある選手が望ましいです。ディフェンスリーダーとしての戦術眼、チームの精神的支柱を担うことが多いです。

また最近ではゴールキーパーとビルドアップの役割も担うことも増えています。

ロングフィードの精度やビルドアップという要素も求められ、以前の対人の強さのみが重要視される形ではなくなってきている印象です。

サイドバック

一般的には走力が求められ、4バックの場合、両サイドの選手のバランスを取る意識が必要になります。

競技レベル・カテゴリーが上がるほど、攻撃的特徴と守備的特徴の選手をそれぞれ各サイドに配置することが多い印象です。

以前のサイドバックの攻撃参加はオーバーラップが主流の走力を重視したものでしたが、近年では攻撃的特徴の選手は走力以上にフィードを活かす形が多くなっています。

守備的特徴では対人の強さにセンターバックの要素を求められることも少なくないです。

昔から変わらないのはロベルト・カルロス(元ブラジル代表)や、カイル・ウォーカー(マンチェスター・シティ/イングランド代表)のような足の速い選手はトップレベルになると重宝されています。

セントラルハーフ

中盤の中央2人は横並びとなり中盤の攻守のバランスをとりながらプレーをする必要があります。

他のフォーメーションと比べると、2人で担うスペースが広く数的不利になることが多いため、サイドハーフとの連携をとりながらパスコースを限定してボール奪取を試みます。

チームとしてセントラルハーフをできるだけ中央に位置させることで守備と攻撃のバランスがよくなりますが、サイドに引き出されたり、所定のポジショニングができないとディフェンスのバランスを崩します。

所定のポジションを維持できるとボール奪取の可能性が高まり、チームのカウンターに参加しやすくなります。

サイドハーフ

運動量とドリブルの技術など個人的なスキルの高い選手の起用が多いです。

ディフェンス要員としてセンターラインでプレーをさせないようにサイドラインに追いこむディフェンスの起点にもなります。

攻撃時はボールをおさめると基本的には相手サイドバックやウイングバックと1対1になるシチュエーションを作れるので相手守備ラインを崩す、または攻撃のタメを作れます。

現代はサイドハーフの選手はビルドアップの際のサイドバックとの連携がかなり重要視されています。

近年では三笘選手がそのポジションを担っています。

フォワード

得点力はもちろん、ポストプレーやシャドーの役割を2人で兼任する必要があります。

フォーメーションでいえば横並びですが、セントラルハーフとの距離感によって縦並びなどバランスを意識することがあります。

4-4-2のメリット・強み

4-4-2のメリットは他フォーメーションに比べて圧倒的にバランスのとれていることです。

このフォーメーションを説明する上ではディフェンスから解説する必要があります。

ディフェンス

すべてのフォーメーションにいえることですが、自陣でのディフェンスを強いられた時はゴールを意識した守備をします。

ゴールを封鎖する場合、4枚で2列ブロックを作ります。つまり4-4-2での守備陣形になります。

各エリアをバランスよくポジションをとっているので、守備の役割分担を即座に行えるメリットがあります。

サッカーフォーメーション解説4-4-2のディフェンス時の対応エリア
守備の対応エリアのイメージ

オフェンス

オフェンスはサイドに人数をかけているので、サイド攻撃からセンタリングのパターンが作りやすくサイドチェンジができれば相手の陣形より数的優位でサイドを突破をすることが可能です。

サイドバックやセントラルハーフからくさびのパスをフォワードに入れ、フォワード2人の連携で崩すことも可能です。

フォワードが2人のため、相手のディフェンスラインが4枚なら、相手センターバック2枚と同数でのプレー機会をゴールに近いところで作ることができます。

相手が3バックの場合は、サイドチェンジやオーバーラップによるサイド突破によって、3バックのバランスを崩してゴール前での手薄にしやすくなります。

3方向からの攻撃により、相手ディフェンスラインとの勝負を仕掛けることができるのが4-4-2の強みです。

4-4-2は高校サッカーで採用しているチームが多いフォーメーションで、守備は役割をわかりやすくすることができること、攻撃はシンプルな構造のため、チームに浸透させやすい、負けにくい戦い方を作りやすいこともメリットといえるでしょう。

4-4-2のデメリット・弱み

ディフェンス

4-4-2のデメリットは高い位置からのプレッシングが難しいシチュエーションが起きやすいことです。

先ほど自陣でのディフェンスに向いていると述べました。

ゴールに向かう相手を迎え撃つ形になるので、自陣にブロックを作りやすい一方で、前線からボールを奪うとなると相手のボールの位置、ポジショニングによるディフェンスをする必要があります。

ピッチの各ゾーンを満遍なくフォローできている4-4-2ですが、それが局面において数的不利を作りやすい場合があります。

数的不利ができる条件は2つ

1つは全体の選手間の距離感を保てずにプレスをかけると、隣のエリアとのスペースができてしまい、簡単に数的不利になってしまいます。

もう1つはそれぞれの担当ゾーンの境目のポジションのマークの役割分担がしづらいこと。

ゾーンでの守備を基本とすると、ゾーン内で2〜3人を相手にする可能性があり、マークの把握をした上で他選手と連携をとりながら攻撃方向の限定をして守るようになります。

このように守備においてゾーンを守る場合は、基本的には守備ラインの外側でボールが動くように守備をすることが必須です。

相手はその逆で中盤にボールを入れて崩そうとしてくるので、センターバックを中心に連携をとりながらボールを追っていく必要があります。

オフェンス

サイド攻撃を起点とし、攻撃がシンプルになることです。

味方フォワードが、相手センターバックとの能力対決のシチュエーションを作られると個人の力の差でボールロストの起点になりやすいことも挙げられます。

中盤をセントラルハーフ2人で担当することで、センターバックと連携をとる距離感になればフォワードとの距離があき、逆をフォワードに寄ればセンターバックからのビルドアップに参加しづらくなります。

相手ディフェンスラインを引きつけて揺さぶる様なコントロールする攻撃というより、強引な部分が出てくるスピーディな展開の攻撃になりがちです。

4-4-2と相手フォーメーションの相性

バランスのとれているフォーメーションであり、ブロックを組みやすいため、どのフォーメーションに対しても守備では相性が良いといえます。

4-4-2は中盤の中央の人数が少ないため、中盤に人数をかけている相手フォーメーションに対しては弱みをつかれてしまうといえるでしょう。

オフェンスでは相手が3バックのフォーメーションの場合、強みを出しやすくなります。

サイドに人数をかけて突破を狙うことで、相手センターバックはスライドしてディフェンスすることになり、センターフォワードへの強いマーキングを緩めることができます。

4-4-2はカウンターに向いていて、3バックはカウンターの対応が遅れやすくなります。

カウンター時にフォワードだけでなく、サイドハーフも参加しやすいため、サイドでの選手の数的優位により、相手のサイドの選手の裏のスペースを使うことができます。

4-4-2で有名なチーム・監督

4-4-2で有名なのはアトレチコマドリードのシメオネ監督でしょう。

シメオネ監督はバルセロナとレアルマドリーの2強だったスペインリーグの構図を変えた男です。チャンピオンズリーグの決勝にも二度進出しています。

チームをまとめ守備の連動を強め勝利への貪欲さを表したシメオネ監督の闘将としての熱量は圧巻のものでした。

4-4-2のまとめ

4-4-2は守備の基本的な布陣になっているため守備への移行は容易にできる。

攻撃はシンプルでサイドに人数をかけ突破をはかる。または個人の能力で勝負できるポジション取りとなり局面突破の優位性が高いです。

カウンターへの移行が早くできるため、相手が陣形を整える前にフィニッシュまで持っていくことができます。

硬い戦術であり、個々の能力が高くなるほどシンプルに戦力が上がるフォーメーションともいえます。

高校サッカーで多く採用される理由は、毎年選手が入れ替わる中で、個々の能力を最大限に活かしやすいからではないでしょうか。

プレーや指導時はもちろん、観戦の際にも参考にしてみてください。

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