先行きの見えにくい日本経済の中で、多くの人が資産形成の方法について以前より考えるようになってきていると言われています。そうした背景もあり、ここ数年、若年層を中心に投資ブームが起きています。なかでも注目を集めているのが、『FX』と呼ばれる外国為替証拠金取引です。
レバレッジという仕組みを利用することで、少額の資金からでも大きな取引ができることでも知られているFXですが、一方で投資ビギナーがするには難しい投資法という声もあります。どんな投資方法にせよ、まずはその投資商品について学ぶことがはじめの一歩となりますが、FXにもさまざまなトレードスタイルがあります。自分に合ったトレードスタイルをあらかじめ知っておくことは、より良い取引を行うための鍵でもあります。
ここでは、「fxとは?」という基本情報から、FXをはじめる際に参考にしたいトレードスタイルについて見ていきたいと思います。
FXとは
FXとは英語のForeign Exchangeの略で、直訳すると『外国為替』になりますが、先述したように日本語では『外国為替保証金取引』や『外国為替証拠金取引』のことを指しています。
『外国為替』は、ある通貨を別の通貨と交換することで利益を出す金融商品のことです。誰でも海外旅行をした際には、日本円を旅行先の現地通貨と両替した経験があるかと思います。これもまた、外国為替取引のひとつになるのです。つまり、外国為替取引とは、円とドルやユーロとドルなどといった、異なる2つの法定通貨を売買して交換する外貨両替のことを意味しています。
そして、『 証拠金取引』とは、一定の証拠金を預け入れ、その証拠金を担保にして取引を行なうことを指しています。証拠金を預け入れることで取引会社より信用が供与され、預け入れた証拠金の何倍もの取引をすることができるようになります。
この二つの要素を組み合わせたFXとは、つまり、「預け入れた証拠金を担保に外国為替取引を行なう取引」なのです。
トレードスタイルの種類
投資というものは、ギャンブルのような印象を持たれることもありますが、実際には顕著な利益を実現するには時間がかかり、慎重に取引を行うことで実績が積み重ねられていくものです。プロの投資家は、試行錯誤を重ねた数年後に成功を収めるとも言われています。それはFXにおいても例外ではありません。
さまざまな取引戦略やトレードスタイルを試し、自分の目標、資本、期待に合った最適な取引方法を見つけることが何よりも大切なのです。
それでは、代表的なトレードスタイルについて見ていきましょう。
スキャルピング
FXでのトレードスタイルとして、最もよく知られているといっても過言でないのが『スキャルピング』です。
スキャルピングは、投資家が市場に参入し、極めて短い期間のみポジションを保持し、それを何度も繰り返すというトレードスタイルです。1日のうちで最もにぎわう(流動性の高い)時間帯、数秒から数分の短時間の間に、頻繁にトレードを行うことで小さい利益を積み重ね、最終的に大きな利益を獲得することが狙いとなっています。
スキャルピングでは、ユーロ・アメリカドルや、日本円・アメリカドルなどの、人気のある2つの通貨ペアのうちの1つの市場に集中できる一方で、常に相場を見ている必要があるのはもちろん、新しい情報をすばやく処理し、市場の急激な変化に対応して迅速に意思決定を行えなければいけません。それだけにスキャルピングは、市場の動きを深く理解し、観察力や直感力、頭の回転の速さ、そしてプレッシャーに負けないタフさを兼ね備えているプロのトレーダー向きのスタイルとも言われています。また、スキャルピングを行うトレーダーは『スキャルパー』とも呼ばれています。
デイトレード
デイトレードは、数十分から数時間でトレードを完了するトレードスタイルであり、デイトレードをするトレーダーは『デイトレーダー』と呼ばれます。
スキャルピングよりもう少し長い期間ポジションを保有し続けることになりますが、ポジションの日またぎはしません。1回のトレードの利益は比較的大きく、日をまたぐリスクも排除されるため、比較的安心してトレードを行うことができます。株式などでは別名「日計り取引」などとも言われますが、スキャルピングと同じく、デイトレードもアマチュア投資家向きの戦略ではないともよく言われています。副業として投資を行っている場合、日中は本業の仕事に時間がとられることになりますし、なによりデイトレードで成功するには、洗練された戦略を実践する必要があるのは言うまでもなく、知識、経験、資本がほどそれなりに必要となってくるからです。
スイングトレード
スイングトレードとは、数日から数週間にわたってトレードを継続するトレードスタイルであり、スイングトレードを行うトレーダーはスイングトレーダーと呼ばれます。
デイトレードよりやや長い期間となるため、一度に狙える値幅や利益も大きくなります。また、スキャルピングやデイトレードに比べて相場を常に確認しておく必要もないため、投資ビギナーはもちろん、他の仕事(フルタイムの仕事など)があって余暇を利用して取引したい、副業として取引がしたいという、サラリーマンや主婦などにとっては人気の取引スタイルとなっています。
ただし、それでも市場の分析に時間を費やす必要があり、チャート分析に関しても鋭い洞察力が必要となってきます。また、1度に狙える利益が大きくなるため、逆に言えば損失が発生する場合も大きな損失になる可能性があります。こうしたことに対してストレスを感じやすい点には注意が必要と言えるかもしれません。
ポジショントレード
ポジショントレードとは、数か月から数年間という長い期間にわたりポジションを保有するトレードスタイルであり、ポジショントレードを行うトレーダーはポジショントレーダーと呼ばれます。
ポジショントレーダーは、他のトレードスタイルと比べて最も保有期間が長いため、資産の短期的な価格変動にはあまり関心がなく、より長期的な時間軸でのパフォーマンスを重視します。言い換えれば、資金が長期間にわたって拘束されることが多いため、ある意味で忍耐力が必要となってきます。特に長期的なトレードでは、ファンダメンタルズ要因を熟知していることが有利に働くため、高度な分析能力が求められます。