フットサル|オフェンス時の【ライン間】作り方・使い方・練習方法

米谷 悟(こめたに さとる)


・元Fリーガー(リガーレヴィア葛飾)
・FリーグDiv.2得点王
・関東フットサルリーグ得点王、ベスト5受賞
・地域チャンピオンズリーグ得点王
・フットサルチーム監督、指導実績
・フットサルクリニック開催(不定期)
※プロフィールは記事投稿時点のもの

私は、フットサルにおいてボールを持っていないときの動きが特に重要ということをいつも話しています。

この投稿について、皆様から多くのいいねもいただき、ボール無しの動き(シンバロン)は、関心があるところかと思います。

その反面、実際にどこに動いたらいいの?という悩みを持つ方も多いと思います。

そこで、この記事では攻撃において有効な場所である「ライン間(ライン上)」について、作り方・使い方とトレーニング方法を紹介します。

便宜上「ライン上」も紹介しますが、この記事ではライン間について詳しく掘り下げます。

この「ライン間」はフットサルにおいて、とても重要で有効な考え方になります。

僕が20年近くフットサルをプレーして学んできたことを惜しみなくお伝えします!


タップでとべます

ライン間とは?ライン上とは?

そもそも「ライン」とは何を指すのでしょうか。

ラインとは守備者と守備者を結んだ仮想の守備ラインのことを指します。

一般的には横のラインで考えます。

フットサルでは守備の前線から「守備1ライン目、2ライン目・・・・」と表現することが多いです。

私は縦のラインもあると考えていますが、ややこしくなるのでこの記事では横の守備ラインでお伝えしていきます。

つまり、

①ライン間とは、守備ラインと守備ラインの間のスペースのことを指します。

 

②ライン上とは、守備ライン上のスペース(守備者と守備者を結んだライン上)のスペースのことを指します。

 

守備側から考えると、

ボールをゴールに近づけないように(前進されないように)、

攻撃側がゴールに近づいても、すぐに助けにいけるように(カバーリングなど)、

複数の守備ラインを形成することが良いとされています。

攻撃側は、守備ラインを越えなければゴールに近づくこと(前進すること)ができません。

そこで、守備ラインを越えてゴールに近づく方法として、「ライン間」は有効です。

ライン間の目的・メリット

目的

ライン間を活用する目的は、

優位性(配置的(位置的)・数的)を作りながら守備ラインを越え、前進することにあります。

メリット

大きなメリットは、攻撃側が主導権を握ってプレーしやすくなります。

ライン間に味方がいることによって、守備ラインを越えて前進しやすくなります。

その理由は、位置的な優位を作ることができたり、数的優位を作れるからです。

守備者の視野外でプレーしやすいことや、有効なスペースでプレーできることで、守備者のプレッシャーが来るまでに時間ができるからです。

また、守備者に迷いを生じさせることができ、守備側の迷いが生まれた分だけ、攻撃側に時間ができます。

では、どのようにして位置的な優位性や数的優位を作れるのか?

このまま読んで頂けたらと思います。笑

ライン上の目的・メリット

目的

ライン上を活用する目的は、守備者に迷いを与えることで守備者を誘導し、優位性を生むことにあります。

あくまで所感ですが、ライン間よりは求められるレベルが高いスペースでのプレーになります。

ライン上に位置することで守備者が迷い、ライン上でパスを受けると、より前向きにプレーできるようになります。

メリット

大きくは、守備者への迷いを与えることだと考えています。

ライン上に位置すると、誰が守備に行くのか、複数の守備者に選択を迫ることができます。

そして、ボールを受けたときに、前方のスペースが大きい場合が多いのも一つのメリットです。

このあたりは今回は余談として、別記事で書きます。笑

ライン間の作り方

実際に、どのようにライン間は生まれるのか??

言い換えると、どのように動くとライン間は作れるのか??

結論は、段差(ギャップ)を作ることです。

大きく3つの段差(ギャップ)の作り方があります。

  1. 引っ張る(ボールを持っていない選手が前進する)
  2. 下がる(ボールを持っていない選手が後ろに下がる)
  3. 運ぶ(ボールを持っている選手がドリブルで運ぶ)

要は、「選手が移動することで守備者がどう動くのか?」を考えるとライン間は作れますし、見つけやすくなります。

①引っ張る(ボールを持っていない選手が前進する)

1番イメージしやすい動きかもしれません。

ボールを持っていない選手が前進すると、攻撃側に段差(ギャップ)が生まれます。

守備者がマンツーマンでついてくれば守備ラインと守備ラインのライン間が生まれます。

 

 

守備者がゾーンディフェンスなら、背後のスペースに入り込んでしまうか、元々あったライン間に侵入することができます。

この引っ張ることでライン間を作る方法は、サイドの選手が引っ張ることでも作ることができます。

 

以前、ブログで紹介した動画からも守備者のライン間がどうなっているか見ることができます。

この動画から、ボール無しの選手が引っ張ることで、守備者のライン間が縮まらないことがわかると思います。

②下がる(ボールを持っていない選手が後ろに下がる)

実は「下がる」ことでライン間を作ることができます。最近僕はこれを1番大事にしています!!

動画の白14番(右下(僕))に注目してください!!笑

 

ボール保持者にプレスが強まった時に「下がる」動きをしています。

その結果、守備者が引き出されて、ライン間にパスが通っています。

14番(僕)は狙ってやっています。

この「下がる」という動きは、イメージがつかない方が多いのではないかと思います。

前進したいのに下がるってイメージつきませんよね。笑

下がるだけで1つの記事書けちゃうと思いますが、今回は簡潔にお伝えします。

 

 

 

 

ボールを持っていない選手が下がることで、もし、下がった選手に守備者がついてきたら、ライン間が生まれます。

下がった選手についてこなくても、下がった選手がボールを受けて守備者が寄せにきたら、事後的にライン間が生まれます。(守備者がライン間を作ってくれます!!)

 

画像のように、下がった時に、守備者との距離(スペース)が空けば、

赤①に時間ができます。

この時間を使って、より良い選択肢を見つけてプレーすることができます。

 

 

下がった選手は、「スペースがある=時間がある」ので、次のプレーがしやすいです。

 

ポルトガルの1点目。

底辺の選手が下がる動きをしています。

下がった選手に対して、守備者が寄せると中央にライン間が生まれているのがわかります。

底辺からサイドでボールを受けた選手は、

・中へのパスライン
・縦への突破

の選択肢が生まれていることで、守備者へ迷いを与えています。

下がることでライン間が生まれる好例です。

③運ぶ(ボールを持っている選手がドリブルで運ぶ)

ボールを持っている選手がライン間を作ることができます。

例えば、サイドでボールを持っていてスペースに運ぶことで、①②と同じように段差(ギャップ)を生むことができてライン間を作ることができます。

先ほども紹介した動画です。

赤4番がドリブルで運んでいるシーン。

ドリブル開始時は、黄色13番と9番のラインは平行でした。

赤4番がドリブルで運んでいくと、

黄色13番と9番の間に段差(ライン間)が生まれたのがわかります。

赤4番は生まれたライン間に割るドリブルをして、シュートを打てています。

ライン間の使い方

ライン間の使い方について3つのポイントがあります。

  1. ライン間に侵入する角度
  2. 速く動かない!「歩く」ように!
  3. 守備者の背後スレスレ(背中超し)でパスを受ける意識

特に意識したいポイントは、侵入する角度です!!!

パスを出した方向よりも90度以上の角度をつけて動き始めると上手くいくことが多いです。

僕はよく「パスを出した方向と逆の矢印に動き出そう!」と伝えます。

① 侵入する角度によって、使えるスペースが変わる!!

僕はよく算数に例えます。(ほんとは数学とか物理とかかっこよく言いたいのですが。。。笑)

 

 

画像のように、侵入する角度によって使えるスペース=使える時間が異なります。

スペース=自分が有効にプレーできる時間になり、この進入角度は非常に重要ですので、特に意識してみてください。

② 速く動かない!「歩く」ように!

動画でライン間に動いている選手のスピードを見てください。

全力で走っていないですよね?

ゆっくりとジョギングするようなスピードで進入しているのがわかります。

極端な表現で「歩く」ということがとても重要になります。

よくあるのが、ライン間にあるスペースに早く入り過ぎてしまい、チームの状況を悪くしてしまうこと。

目的は前進するためで、そのためにパスの受け手になってあげる必要がありますので、パスを受けられるタイミングに合わせるように、ライン間に入るスピードを調整しましょう。

スピード調整を意識する時にポイントになるのが「歩く」ということです。

速く動いてしまうと、ボールや味方とのタイミングと合わせることが難しいです。

早くライン間に到達してしまい、ボールを待っている間に守備者に対応されてしまいます。

また、ボールを受けた選手がパスを出したいタイミングで、通りすぎてしまっていることもよく見るシーンです。

極端ですが、歩くようにプレーすると分かりやすくなります。

ボールの状況、味方の状況を見て判断できるスピードで動くことがポイントになります。

③ 守備者の背後スレスレ(背中超し)でパスを受ける意識

守備者の背後スレスレ(背中超し)でパスを受けられると、とてもプレーしやすくなります。

理由は、スペース=自身がプレーできる時間ができるからです。

そして背中スレスレでパスを受けると、守備者は後ろからプレッシャーをかけるのは難しいですし、対応するかも迷います。

この迷いを生み、自身がプレーしやすい環境を作ることができるのが背後スレスレです。

画像のように、ライン間に深く入り過ぎてしまうとプレーレベルが上がってしまうことが多いです。

目の前の守備者の背後で受けることを意識すると、、、

 

 

画像のように、プレースペースが大きくなる=プレーできる時間が多くなるので、プレーしやすくなります。

スペースが大きい分、守備者がプレッシャーをかけるまでの時間が長くなるからです。

また、守備者に対して、誰が赤③に守備にいくのか?迷いを与えることにもなります。

この3つのポイントを意識してライン間を使うと、プレーしやすくなる実感が持てるはずです!!

ライン間の使い方は様々

ライン間の使い方は様々です。

2人組の関係でライン間に侵入することもあれば、(エントレリーニャ)

3人組の関係に近いイメージで、奥の選手が下りてきたり、(ケブラとかアポージョ)

動画の白10番の選手が折れるようにライン間に進入しています。

補足ですが、この時、奥の選手が背後のスペースへ走っていることも重要です。

 

一番後ろの選手が進入してきたり、(エスケープ)

画像や動画のように、誰がライン間に入るのか?によって、様々な使い方があります。

チームによって最適なライン間の使い方があるので、是非イメージしてみてください。

ライン間を意識するトレーニング

ライン間を意識してプレーできるようになるためにどんなトレーニングをしたら良いか、1つの案を紹介します。

僕は、導入としてゾーンDF(守備者がマークについていかないで残る)に対しての練習を行うとイメージがしやすいと考えています。

その際、3人以上DFがいるトレーニングが良いです。

トレーニング案① 6対3のロンド(鳥かご)

鳥かごといわれるパス回しです。このメニューを僕はよく使います。

-6対3ロンド

コートサイズ:20m×20m

OFルール①:タッチライン上でプレーする(タッチ制限など変数有)

OFルール②:タッチライン上でパスを出したら、センターサークル内まで進入する

OFルール③:上記でパスを受けた選手が次のプレー(味方にパス)をするまではセンターサークル内でプレー

OFルール④:センターサークル内でプレーしていた選手は次のプレーが選択されたら、センターサークルが出てタッチライン上に戻る。

OFルール⑤:移動中にプレーに関与してOK(センターサークルへ移動中、タッチライン上に移動中にパスを受けるなど)

 

このメニューは、強制的にDFの真ん中のスペース(ライン間をイメージできるスペース)へ動き、ライン間にいる世界を体験できます。

追加ルールとして、真ん中で受けて外の選手にパスができたら、DFの負けや1点とかにすれば、トレーニングの意識が高まります!

トレーニング案② ゲーム(4対2-2ゾーンDF)

-ゾーン前進ゲーム

コートサイズ:20m×40m

OFルール:各守備ゾーンでパス2本以上成功させて前進する。

DFルール①:黄色ゾーン(20m×10m)では2人(青①②)守備で守る

DFルール②:黄緑ゾーン(20m×10m)では2人(青③④)守備で守る

DFルール③:他のゾーンでは守備できない

DFルール④:ボールを奪う又はボールアウトのマイボールはGKにボールを戻して攻守交代

ゲームに近づけた練習では、DFに条件をつけるとライン間が意識しやすくなります。

守備者に条件をつけることで、守備ライン間が明確になります。

攻撃側はいかに、ライン間を攻略しながら前進することが意識できるようになります。

まとめ ライン間はフットサルの醍醐味の1つ!

複数人で行うフットサルにおいて、ライン間は必ず生まれます。

言い換えると、攻撃はほとんどの場合、ライン間かライン上でプレーしています。

ライン間を意識し、有効活用できれば、攻撃はより上手くいきます。

ライン間を意識してプレーすると、数的優位を見つけられたり、前向きでプレーできることでプレッシャーが遅く感じたり、

自分がその場所に立っている意味を感じることができたり、フットサルの面白さが広がること間違いなしです!!

是非意識してみてください。最後までお読み頂きありがとうございます!

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